オートメーション業界2022年注目の技術動向

Submitted by Shin Kai on Mon, 01/10/2022 - 11:53

 

年初に当たり、ARC アドバイザリグループは今年も世界のオートメーション分野で注目される技術動向に関する予測を発表した。この主題を巡ってARC が発行した報告 “Key Technology Trends for 2022, by Craig Resnick” の概略をご紹介する。

 2022年の主要技術の選考は昨年に続き、COVID-19 パンデミックの影響を強く受けることになった。昨年の業界は、主に需要面からの問題に悩まされることはなかったが、供給面の問題には苦しんだ一年であった。サプライチェーンで問題の発生後、即座にこれに対応するためには、俊敏性と柔軟性を高め、製品や製造作業工程をリアルタイムで組み替える必要が生じた。この経験が製造業のニーズを大きく変化させた。この変化は、ARC が2022年以降に主流になると考えている技術に対する需要を生み出した。これらの技術に対して企業は、事業と運用の回復力と持続可能性を向上させるのに役立つことを期待している。

デジタル変革は、物理的・組織的な境界を打ち破ってリアルタイムの従業員の能力を活性化し、チームを結び付け協働を推進する。このために、設備障害の監視、制御、保護を改善し、製品の受発注から納品に至る全業務工程と高い生産性を確保し、人員の安全を保護して技能を向上し、サイバーセキュリティを強化するための構造を活用しながらこれらすべてを遂行するための技術に対する需要が高まっている。企業が緊急課題に対応するためには、デジタル変革を加速させ、要となる技術を実装展開し、エンジニアリングから運用まで一貫したデジタルスレッドを活用して俊敏性、信頼性、効率を向上させる必要がある。

昨年の主要技術の動向報告では、技術融合(コンバージェンス)から技術溶融(フュージョン)への遷移傾向などに焦点を当てた。そこでは運用の回復力が主要な達成目標になり、遠隔運用が新常態になる。自動化操業が自律的運転になり、エッジコンピューティング基盤がエッジの自動化基盤になる。これらはすべて、業界の主潮流に入るところまで来ているか、すでに潮流に取り込まれている場合には、引き続き受容が拡大する段階にある。これらはすべて、産業、インフラ、さらに今日の一段とスマート化する都市や自治体の総体的なデジタル変革に連環している。今年の報告では、ARC がこれから12カ月ほどの間に重要度が高まると考えている主要な技術のいくつかを順不同で紹介したい。完全なリストからはほど遠いものの、不確実性こそが唯一確実なこととみなされているこの世界で企業が成長するための要件を反映しているだろう。

メタ・マシン・インタフェース: HMI と AR/VR の融合

業界のデジタル変革をサポートする視覚化の可能性を最大限に引き出すために、拡張現実(AR)と仮想現実(VR)をHMI ソフトウエアと統合し、メタ視覚化経験(meta-visualization experience)の一部に取り込む必要があるだろう。メタ視覚化ツールは、産業用モノのインターネット(IIoT)および分析機能とパッケージ化することにより、ユーザに没入体験、リアルタイムのコンテキスト化されたデータ、およびそれぞれの役割に絡む情報を提供して、ユーザが日常的な作業を迅速、正確、効果的に遂行できるように支援する。メタ視覚化は、つながるデジタル企業内では、ユーザ経験を拡張し、技術革新を支援し、顧客との対話モデルを変革して、企業が製品や設備を設計、製造、運用、保守、サービスする方法を改善するのに役立つ。

このようなメタ視覚化基盤が成功するかどうかは、製品ライフサイクル管理(PLM)、製造実行システム(MES)、フィールドサービス管理(FSM)などの別の企業管理ソフトウエアとの統合にかかっている。どのようなメタ視覚化活動も、これら事業グループや他の事業グループ全体を通して水平統合的に機能して、それらのグループ内の役割に合わせたアプリケーションを提供し管理する必要がある。2022年には、固定、モバイル、ウェアラブルハードウエア上のHMIソフトウエアとAR の統合を手始めとして、これらの視覚化技術が製品化されて、革新的なソリューションを提供し始めるだろう。

リアルタイムのスマート・サプライ・チェーン・ソリューション

今般のパンデミックは、世界的なサプライチェーンの弱点と脆弱性を露呈させた。企業は、従来型のサプライチェーンのソリューションが今日的な競争環境には不十分であること、さらにより適応性があり、機敏で、インテリジェントで、完全なデジタル化によって実現されるサプライチェーンのツールに切り替える必要があることを認識しつつある。

この傾向は、リアルタイムのスマート・サプライ・チェーン・ソリューションに対する需要の高まりの主な要因となっており、そのソリューションは原材料や部品の製造業者とつながるだけでなく、PLM やデジタルツインに連携するデジタルスレッドの一部でもある。そのため、企業は代替の材料や部品の調達が可能であれば、これに対応する製品の設計と製造の作業工程を即座に変更することができる。これらリアルタイムのスマート・サプライ・チェーン・ソリューションは予測分析に基づいているため、オンデマンド生産やサプライ・チェーン・パートナー企業とのより緊密な協働も可能にする。

AIoT ソリューション: 人工知能(AI)と IIoT の融合

産業用 IoT(IIoT)の基本は、大量のデータを高頻度で収集し、これらの統合データセットを組織全体でモバイル対応やアクセス可能にすることで、戦略的な意思決定を行うことに役立てるところにある。とはいえ、製造業の企業は通常、人工知能(AI)と機械学習(ML)を取り込んだデータサイエンスの組織的能力を構築してきてはいない。エンジニアリングの役割は大量のデータ分析に熟達しているところにあるが、製造現場適用グレードの AI・ML 環境の立上げと構築は容易ではない。

AI と IIoT の技術力が合流することで、新しいデジタルソリューションのカテゴリであるモノの人工知能(Artificial Intelligence of Things: AIoT)が生まれ、これにより産業データの未開拓の事業価値を解き放つことに重点が置かれる。このカテゴリでは、AI 技術と産業用 IoTを組み合わせて次世代の産業用 AI インフラを実現することにより、組織がシームレスなヒューマン・マシン・ワークフローを実現し、産業データ管理を調和させ、生データを具体的な事業成果に迅速に転換できるように支援する。AIoT は、産業環境におけるエッジからクラウドにインテリジェンスをもたらし、データを有用な情報に転換して意思決定プロセスを改善し、最も必要とされる場所でその処理を実行する。AIoT は、大規模なソフトウエアとOT 領域の専門知識を提供する IT とデータサイエンスを統合することにより、産業領域における AI と ML の普遍活用化を促進する。

生産性と回復力を増強するスマート安全ソリューション

安全性を統合して、データが収集された時点またはその収集された場所でリアルタイムにデータを収集し処理するなど、スマートデバイスのあらゆる機能と利点を活用しつつ、すべての安全機能を活用できることは、生産性向上と安全性向上の2つの技術の融合を表している。これまで多くの新たなスマート安全ソリューションが導入されてきたが、これらのソリューションは、現在では、企業の運用回復力強化戦略の不可欠な構成要素ともなっている。

スマート安全デバイスは、オートメーション設備を設置し、プログラミングし、操作し、サービスを実施する人だけでなく、製造設備自体にも大きなメリットをもたらす。スマートデバイスは、分析・活用されて生産プロセス全体をより安全かつ効率的、高生産性、高収益性を実現できる重要なデータを収集するように設計されているため、これにより、これらの設備運用がより安全になるだけでなく、何が起こっているかについての貴重な洞察も得られるからである。2022年には安全かつスマートなデバイスの一段と幅広い展開と採用が進むと期待される。

ARC が現在注目しているその他の潜在的に変革をもたらす技術動向には、仮想コミッショニングとデジタルツインの融合スマート・ビジョン・システムと映像分析などが含まれる。積層造形製造(アディティブマニュファクチャリング)は、生産の実稼働環境でさらに主流になるだろう。産業、インフラ、スマートシティでの 5G ネットワークの展開の拡大や、アプリのコンテナ化つながる設備のライフサイクル管理とその最適化などにも注目。ARC は、これらの最新技術とアプローチの調査と評価を継続し、業界、インフラ、スマートシティのデジタル変革への影響を追い続ける計画である。

 

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